近年、各地で大きな地震の発生が多発しており家屋の倒壊など多大な被害が出ております。
この京田辺においても古い家屋も多く、我が家を心配される方も多いかと存じます。
そこで、住宅の耐震性についてお話をさせて頂きたいと思います。
ご自身の家屋を照らし合わせてご確認や今後の対策のご参考にして頂ければ幸いです。
今回は一般的な木造住宅に焦点を当てて、以下の5点にわけてお伝え致します。
1.住宅の耐震とは
2.住宅の耐震基準について
3.耐震性を向上させる対策について
4.耐震改修工事について
5.耐震改修の助成金制度
住宅の耐震とは
住宅の耐震とはどのようなもので何をもって強い、弱いが決まるのでしょうか?
新しい家なら安心?古い家だから心配?
一概にはいえず、いくつかのポイントで耐震性が決まります。
【耐力壁】
筋交やパネルなどによって地震に耐える役割を持たせた壁を耐力壁といいます。
耐力壁が適切な量、バランスよく配置されているかが耐震性の決め手となります。
【建物の形状】
建物が揺らされた時に、形状がシンプルな方が複雑な形状に比べて耐震性が高くなります。
また、極端に細長い形状などは揺れの方向によっては著しく耐震性が弱い為注意が必要です。
【建物の素材】
重い素材で出来ている家の方が地震で大きく揺れやすいので耐震性は弱くなります。
特に屋根材の影響は大きく、耐震性の観点では軽い素材の屋根の方が耐震性が良いです。
【地盤】
建物の建っている土地の強さも耐震性に影響します。
地面の事を専門用語で地盤と呼びますが、砂、岩盤、粘土などが重なり合って出来ている
地盤の強さは場所によって異なります。
弱い地盤においては地盤の改良や杭を施工する等の対策が必要です。
まとめると耐震とは地震の揺れに対して耐える為に建物自体を頑丈な造りにする手法の事です。
また、よく似た言葉で制震や免震がありますが地震に備える目的は同じで手法が異なります。
※制震とは
地震の揺れを吸収して建物を守る技術で壁や床に制震装置を備えます。比較的小規模の建物でも取り入れやすく、木造住宅でも採用される事のある手法です。
※免震とは
地震の揺れを建物に伝えないようにして建物を守る技術で建物の下に免震装置を備えて地面から建物を浮かせます。ビルやマンションなど大きな建物で採用されることが多い手法です。
住宅の耐震基準について
建物を建てるには様々な規定が法律で定められており、その中で耐震性についての規定を耐震基準といいます。
現在まで、過去のいくつかの震災時に基準が改めていられており、古いものから
旧耐震基準→新耐震基準→現行耐震基準といいます。
新耐震と言われるものが最新ではない事に注意が必要です。
【旧耐震基準とは】・・・信頼度★☆☆☆☆
1950年から1981年(S56)5月31日までに建築確認が許可された建物
過去に規定のなかった耐震性についていくつかの基準が設けられた
「中規模の地震に相当する、建物が支える20%以上の重さの水平力を受けても損傷しないこと」を検証する許容応力度計算を行う
震度5程度の中規模の地震ではすぐに倒壊することなく避難時間を稼ぐ事が出来る
図面が残っていても完成後の完了検査を受けていない建物も多く、良くも悪くも図面通りに
建てられていない場合もある為、注意が必要
【新耐震基準とは】・・・信頼度★★★☆☆
1981年(S56)6月1日から2000年(H12)5月31日までに建築確認が許可された建物
細かな構造計算をもって基準を満たす事が義務付けられた
具体的には一次設計の「許容応力度計算」に加え二次設計の「保有水平耐力計算」の概念が取り入れられた
二次設計とは、大規模の地震に相当する建物が支える100%以上の重さの水平力を受けても倒壊しないことを検証
震度6強程度の大地震であってもすぐに倒壊することなく避難時間を稼ぐ事が出来る
【現行耐震基準とは】・・・信頼度★★★★☆
2000年(H12)6月1日から現在までの建物に適用
新耐震基準をより細かく規定、厳格化することで耐震性の性能と精度を高めた
基礎は地耐力に合ったものと規定され、木造住宅でも事実上地盤調査が義務づけられた
柱や筋交いを固定する接合部の金物が指定されて耐力壁の配置のバランスも規定
家が完成した日ではなく、行政が建築確認を許可した日付で判断する必要があります。
また、重要な点は建物が壊れない事を目的とした規定ではなく震災の際になるべく人命を守るために建物に求められる最低限の耐震性についての規定であるという事です。
耐震性を向上させる対策について
耐震性を向上させるにはいくつかの方法がありますが現実的な例をご紹介します。
■耐力壁を増やす、金物で強化する
筋交などの増設や既存の耐力壁に現在の基準の金物を取り付けて補強します。
増やせば良いのではなくバランスよく配置する事が重要となります。
天井や壁を破らないと耐力壁を増やす事が出来ない為、外壁か内部の復旧工事が必須と
なります。
■重い素材の屋根から軽い素材の屋根へ葺き替えをする
瓦などの重い素材の屋根をカラーベストや金属製の軽い素材のやねへ葺き替えると
建物の揺れが軽減され、耐震対策になります
■古く弱い基礎の補強工事
建物を補強しても基礎が脆弱な状態であればあまり効果を発揮しません。
ヒビだらけの基礎や旧耐震以前の基礎などは補強をすることが重要です。
既存の基礎に並べて新たな基礎を抱き合わせるなどの方法がありますが、床を全て撤去する など大掛かりな工事になります。
耐震改修工事について
実際の耐震改修工事はどの様な工事でどれくらいの効果があるものなのでしょうか?
今回は行政からの助成金の対象となる耐震改修工事の例をご紹介します。
耐力壁を増やすなど本格的な耐震改修工事は既存の状況と改修計画を専門の計算システムを
使って耐力計算を行います。
2階建ての場合、1階の各室の壁や2階の一部に耐力壁を増やしたり金物を取り付ける工事が
主となりますが計算上、屋根が重い屋根の場合は軽い屋根への葺き替えも必須となることが多いです。
屋根の葺き替えや耐力壁の設置、復旧工事を含め500万円程度の費用がかかる例が多いです。
内部の工事を伴う場合は仮住まいの必要も出てきますので諸費用が別途かかります。
簡易な方法では重い屋根を軽い屋根に葺き替えするだけの工事や1階の一部屋だけでも耐震補強をする工事もあります。
工事内容によりますが100万円〜300万円程度の費用がかかる例が多いです。
いずれの工事も既存の状態から地震に対して強いものに改修する工事ですが、絶対に倒れない家に改修できる工事ではありません。
大きな震災時に安全に避難ができる、すぐに倒れない家に改修する為の耐震改修工事となります。
耐震改修の助成金制度
旧耐震基準の建物の耐震改修工事には行政の助成金のサポートがあります。
一定の基準を満たす事で本格改修には最大100万円、性能が向上する事が認められる簡易な耐震改修においては最大30万円の助成金となっております。
京田辺市では年度毎に受付件数が決まっておりますので、助成金申請をご検討の場合は事前に問い合わせ確認が必須です。
まとめ
補助金の活用にかかわらず住宅の耐震については建築の有資格者による適切な判断とアドバイスが必要になります。
リクシルリフォームショップ木村工務店には建築士の有資格者が多数在籍しており、耐震についてのご相談やアドバイスについて的確な対応をさせて頂いております。
耐震改修の実績もあり、助成金申請などのサポートもご安心下さい。
ご相談は毎月開催の相談会でお受けしておりますので是非お気軽にお問い合わせ下さい。